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フードロス
2025/7/27

世界の食品ロスについて|世界と比較した日本の食品ロスの量

世界の食品ロスについて|世界と比較した日本の食品ロスの量

目次

食品ロスとは?国際的な定義を知ろう

食品ロスとは、「本来食べられるはずの食品が廃棄されてしまうこと」を指します。

日本では農林水産省や環境省が「食品ロス」という表現を使っていますが、国際的には「フードロス(Food Loss)」や「フードウェイスト(Food Waste)」という言葉が使われています。

  • フードロス(Food Loss): 生産・流通などの上流工程での食品の損失
  • フードウェイスト(Food Waste): 小売・消費段階(家庭・外食など)での廃棄
  • 食品ロス(日本語): 上記両方を含む概念として使われることが多い

国際連合の食糧農業機関(FAO)や国連環境計画(UNEP)では、この食品ロス問題を「世界の持続可能性に関わる深刻な課題」と位置付けています。

【世界の実態】食品ロスはどれくらい発生しているのか?

FAOの報告によると、世界では年間約13億トンもの食品が廃棄されていると推計されています。

これは、世界全体で生産された食品のおよそ3分の1が失われている計算になります。

世界各国の食品ロス量(1人あたり家庭系食品ロス量・年間)

UNEP(国際連合環境計画)2021年報告
各国の「1人あたり食品ロス量」を比較した表です。

国名

1人あたりの食品ロス量

オーストラリア

102kg

韓国

95kg

フランス

85kg

イギリス

77kg

日本

64kg

アメリカ

59kg

UNEP:Food Waste Index Report 2021
※データの測定方法や参照年は国ごとに差があるため参考値

先進国と途上国の違い

  • 先進国(日本、アメリカ、欧州など)
    主に消費段階での食品ロス(家庭・外食産業)が多い傾向があります。

  • 途上国(アフリカ、アジア一部地域など)
    生産・流通のインフラ未整備により、収穫後や輸送中に食品が無駄になることが多いとされています。

日本の食品ロスは世界と比べて多いのか?

日本の食品ロスは、令和4年度(2022年度)の環境省推計で約472万トン

このうち、家庭系と事業系がそれぞれ236万トンずつを占めています。

日本は「もったいない」文化があるのに

日本には「もったいない」という価値観が根付いている一方で、コンビニの販売期限ルールや、家庭での賞味期限誤解などにより、意外にも食品ロスが多いというのが現状です。

世界全体の食糧援助量(ODA)は年間約750万トン程度と言われており、日本国内の食品ロス(472万トン)はその6割以上に相当します。

つまり、日本だけで世界の支援食糧の大半を占める量を捨てているのです。

先進国の中でも比較的多い部類に入るその背景には、日本特有の社会習慣や消費行動が関係していると考えられます。

日本で食品ロスが発生しやすい理由

  • 消費期限や賞味期限への誤解や過敏な反応
  • 「見た目」にこだわる文化(傷んでいなくても捨ててしまう)
  • 小売業における販売期限や返品制度の厳しさ(商品側要因)

世界との違い:食品ロスが生まれる背景の差

  • 欧米では「食べられるかどうか」を軸に判断する傾向が強く、
    少し古くても「食べきる・冷凍する・シェアする」という発想が定着しています。
  • フランスなどでは法制度によって廃棄そのものが抑制されている国もあり、構造的な抑止力が働いています。
  • 発展途上国では、消費段階ではなく、生産・流通インフラが原因での食品ロスが多く、
    保存技術・運搬手段の未整備が課題となっています。

つまり、日本の食品ロスは「意識は高いはずのに、行動が伴わない」というギャップに原因があるとも言えます。

これを解消するため、日常の中で意識するだけでなく、行動を一致させる習慣づくりが求められます。

世界の食品ロス削減に向けた取り組み事例

フランス:食品廃棄禁止法の導入

フランスでは2016年、スーパーでの食品廃棄を禁止する法律が施行され、売れ残った食品は福祉団体などへの寄付が義務付けられました。

これにより、寄付量の増加と廃棄量の大幅削減が実現されています。

デンマーク:市民によるフードシェア文化

デンマークでは、市民主導のフードシェアリング活動が根付き、不要になった食品を地域でシェアする「フードバンク」「フードワゴン」の設置が進んでいます。

韓国:生ごみ有料制とICTごみ箱

韓国では「生ごみの重量によって処理費用が変動する有料制」を導入。

また、スマートごみ箱(ICカードで重量を測定し課金)を設置する自治体も増えており、食品廃棄抑制にデジタル技術を活用しています。

国連・G20の取り組み

SDGsの目標12.3では、「2030年までに世界のフードロスを半減する」ことが掲げられています。

G20でも「食品ロス削減プラットフォーム」を通じて各国が政策・情報を共有しています。

私たちにできること:世界から学ぶ食品ロス対策

  • 買いすぎず、食材を使い切る習慣を持つ
  • 冷蔵庫の中を定期的に確認する
  • 消費期限と賞味期限の違いを正しく理解する
  • 外食では注文量を調整したり、持ち帰る工夫をする
  • フードシェアサービスや食品寄付活動に参加する

世界各国の先進的な取り組みを参考にしながら、私たちも日常生活の中でできることから取り組んでいくことが大切です。

まとめ

世界では、年間13億トンもの食品が廃棄されており、これは深刻な環境・経済・倫理問題につながっています。

日本でも毎年約472万トンの食品ロスが発生しており、国際的に見ても高い水準にあると言えます。

フランスの法制度、韓国のデジタル管理、デンマークの市民活動など、世界には多くの参考になる対策があります。

日本でも制度や技術、そして一人ひとりの行動によって、食品ロスの削減を進めていくことが求められています。

「世界の課題」だからこそ、「私たちの生活」から変えていきましょう。


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