「食品ロス」と「フードロス」はどう違うの?
「食品ロス」とは?
「食品ロス」とは、まだ食べられるにもかかわらず、さまざまな理由で廃棄されてしまう食品のことを指します。
例えば、賞味期限が近くて販売できなくなった商品や、家庭での食べ残しなどが該当します。
農林水産省では「本来食べられるのに捨てられている食品」と定義されています。
「フードロス」とは?
「フードロス(Food Loss)」は、直訳すると「食料の損失」を意味し、主に国際的な文脈で使われる言葉です。
日本語の「食品ロス」よりも広い概念で、食品が廃棄される原因や段階(生産、加工、流通など)全体を含んだ言葉として使われることもあります。
使い分けのポイント
日本では「食品ロス」が行政や報道でも一般的に使われており、日常生活の中で目にすることが多い言葉です。
一方、「フードロス」はビジネスや国際協力、サステナビリティ関連の文脈で使われることが増えており、意味に大きな違いはないものの、使われる場面に若干の違いがあります。
「食品ロス」と「フードロス」の定義と出典
農林水産省や環境省の定義
農林水産省によると、「食品ロス」とは「まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品」を指します。
環境省や消費者庁なども同様の表現を用いており、主に流通や消費の段階で発生する廃棄に焦点が当てられています。
一方「フードロス」には国内での明確な定義はありませんが、国連食糧農業機関(FAO)では、生産・収穫・加工・販売・消費など、あらゆる段階で発生する食料の無駄を指す言葉として使用されています。
実際の使われ方の違い
普段の生活や報道では「食品ロス」が一般的ですが、企業のCSR活動や国際的な資料などでは「フードロス」が使われることもあります。
最近では、両者を同義語として扱うケースも増えており、大きな混乱はないものの、場面に応じた言葉の選び方が求められます。
なぜ「食品ロス」削減が求められているのか?
環境への影響
食品を廃棄するということは、ゴミとして処理する際にエネルギーを使い、温室効果ガスの排出にもつながります。
食品ロスの削減は、気候変動対策や資源の有効活用といった面でも大きな意義があります。
経済的な損失
食品の生産から廃棄までには多くのコストがかかっています。
仕入れ、人件費、輸送費など、廃棄された食品にかけられた資源が無駄になってしまうことは、企業にとっても家庭にとっても大きな損失です。
社会的な取り組みの広がり
- コンビニエンスストアでの「値引き販売」や「フードドネーション」
- 飲食店での「完食推奨キャンペーン」
- 自治体や民間による「フードシェアリングサービス」の導入
このように、国や企業、地域コミュニティによる取り組みが広がりつつあります。
日常生活でできる食品ロス削減の工夫
買いすぎを防ぐ
食材を計画的に購入することで、余分な在庫や腐敗を防ぐことができます。
買い物前に冷蔵庫の中を確認する習慣をつけるだけでも、食品ロスはぐっと減らせます。
食べきる工夫をする
調理後の保存方法や、食べ残しを活用したリメイクレシピなども有効です。
また、消費期限と賞味期限の違いを理解し、過度に廃棄しないよう心がけましょう。
フードシェアサービスを活用する
最近では、まだ食べられる食品を必要としている人とつなぐ「フードシェアリングサービス」も登場しています。
こうしたサービスを通じて、家庭や店舗で発生する食品ロスを有効に活用することができます。
まとめ
「食品ロス」と「フードロス」は、どちらも“もったいない”という意識から生まれた重要な概念です。
厳密には定義や使用される文脈に違いはありますが、共通して「限りある食資源を大切にしよう」という想いが込められています。
食品ロスの削減は、私たち一人ひとりの行動によって大きく前進します。
まずは日々の買い物や食事の中で、小さな見直しから始めていきましょう。